退職金代わりに現物支給されたコインランドリー投資はお得?
退職金の支給方法は多様であり、経営者や役員にとって重要な選択肢のひとつです。現物支給には、節税効果や柔軟性のある資産運用などのメリットがありますが、現物支給する物によってはコストが発生します。
経営者や役員は、退職金をどのようなもので現物支給するかを総合的に比較検討し、自身の資産状況や税金負担、資産価値の変動を考慮して、最適な退職金の支給方法を選ぶことが求められます。
本記事では、現物支給の具体的な選択肢とその特徴を初心者にもわかりやすく解説します。
退職金の現物支給とは
退職金の現物支給とは、通常の現金支給ではなく、物品や資産を提供する手法です。経営者や役員には、法人名義の不動産や車両などの固定資産を個人名義に変更することで、退職金として支給できます。
また、生命保険も名義変更もすることで退職金として支給できます。コインランドリー事業を営む企業の場合、コインランドリーそのものを退職金として提供することもあります。このアプローチは、税制上の利点が大きいと言われています。
退職金が現物資産だけの場合は、退職者から所得税および住民税相当額が徴収されます。現物支給は、退職金に対する経営者や役員の選択肢を拡大する方法であり、コインランドリー以外の業種でも適用できます。
経営者は、企業の財務状況や税制上の利益を考慮しながら、最適な退職金支給方法を検討することが重要です。
退職金をコインランドリーで現物支給する場合の評価額と税額
退職金の支給方法によって、評価額や税金の負担が変わります。たとえば、1億円の退職金を受け取る場合について、現金で受け取る、不動産で受け取る、コインランドリーで受け取るという3つのパターンで比較してみます。
評価額
不動産やコインランドリーなどの資産を退職金として受け取る場合、まずはその資産の価値を計算する必要があります。これを時価評価といい、その金額に基づいて課税される金額が決まります。
●パターン1: 現金で受け取る
この場合、1億円の退職金がそのまま現金として受け取られます。ただし、所得税や住民税がかかりますので、実際に手元に残る金額は1億円よりも少なくなります。
●パターン2: 不動産で受け取る
この場合、不動産の時価評価額が1億円とし、その評価額に基づいて課税されます。この場合も、所得税や住民税がかかりますが、不動産の価値が上がる可能性もあります。
●パターン3: コインランドリーで受け取る
この場合も、コインランドリーの時価評価額が1億円とし、その評価額に基づいて課税されます。所得税や住民税がかかりますが、コインランドリーが収益を上げることで、資産価値が増加する可能性もあります。
経営者としては、これらのパターンを比較検討し、税金負担や資産価値の変動を考慮して、最も適切な退職金の支給方法を選択することが重要です。
税額
退職金をもらう際、まずその金額から一定の控除額(退職所得控除)を引いた金額が計算の対象になります。この計算の対象となる金額に対して、所得税、特別復興所得税、住民税の3つの税金がかかります。今回は、例として退職金の控除額を600万円として試算します。
●現金で退職金を受け取る場合
10年後でも1億円は変わりません。その場合の税金は、約2,140万円です。
●不動産を退職金として受け取る場合
10年後の価値が7,436万円だとした場合、税金は約1,452万円です
●コインランドリーを退職金として受け取る場合
10年後の価値が1,550万円と仮定すると、税金は101万円です。
この比較から分かるように、将来の税金を考慮した場合、コインランドリーに投資することで大幅に税金を節約できることがわかります。
退職金をコインランドリーで現物支給するメリット/h2>
退職金をコインランドリーで現物支給することは、法人側と受給者側双方にメリットがあります。
支給する側のメリット
退職金の現物支給は、節税効果があり、銀行評価の維持が期待できる方法です。具体的には、現物支給により評価額と実際の金額の差額が役員側の利益となり、企業側の損失が利益から差し引かれるため、節税が実現されます。
コインランドリーの現物支給は、とくに節税効果が高いとされています。また、退職金を現物支給することで、会社内の現金(流動資産)を維持できるため、銀行からの評価がキープしやすくなります。現物支給により、固定資産のみを減らすことができます。
受給する側のメリット
退職金の現物支給は、評価額と実際の金額の差額が役員側の利益となるため、課税金額が軽減されるメリットがあります。
受給者は、所得税や住民税の負担を軽減できるとともに、コインランドリーを退職金として受け取ることで、定年退職後もコインランドリー事業を継続し、安定した収入源を確保できます。
さらに、コインランドリー事業は、長期的な不動産価値の向上も見込めます。これにより、将来的に資産価値が向上することが期待でき、資産運用の選択肢が広がります。
退職後にコインランドリー事業を継続することで、受給者は新たなスキルや経験を積むこともできます。将来的にほかの事業や投資に役立つ知識・経験となり、人生の第二幕におけるキャリアの幅を広げられるでしょう。
他にもある現物支給の例
退職金としての現物支給の選択肢には、不動産や車、生命保険などがあります。経営者や役員は、退職金を現物支給にすることで、資産や節税効果を最大限に活用できます。
不動産
不動産の現物支給は、土地や建物などが該当し、価値変動があるため、柔軟性が高い点がメリットです。
たとえば、アパート経営を行ったり、売却したり、取り壊して新事業を始めたりすることができます。しかし、不動産取引には固定資産税や登記手続きなど、コストがかかる点も考慮する必要があります。
生命保険
生命保険の現物支給は「解約返戻金」に基づいて評価されます。終身医療保険の場合、保険料の全額払い込みが終わっていて解約返戻金が0円であれば、0円として現物支給ができます。
保険の内容次第で、対比用効果の高い現物支給となることがあります。生命保険は加入費用も節税対象となるため、経営者や役員が経営時や退職時に節税効果を享受することができます。
車
車の現物支給は、耐用年数ではなく時価に基づいて評価され、中古車としての流通価格次第で節税効果が高まる可能性があります。
また、車は資産価値だけでなく実用性も重視されるため、車種によっては資産価値も期待できます。ただし、車には維持費や税金がかかるため、総合的なコストを考慮する必要があります。
まとめ
退職金の現物支給は金銭ではなく、不動産や車、生命保険などの物品や資産で退職金を受け取る方法で、節税効果や資産価値の活用がメリットです。
不動産の現物支給は、価値変動があるため柔軟性が高く、アパート経営や売却、新事業への活用が可能ですが、固定資産税や登記手続きのコストも考慮が必要です。
生命保険の現物支給は「解約返戻金」で評価され、経営時や退職時に節税効果を享受できます。車の現物支給は時価に基づく評価で節税効果が期待できますが、維持費や税金を考慮する必要があります。
経営者や役員は、これらの選択肢を総合的に検討し、最適な退職金の支給方法を選ぶことが重要です。